ウガンダ生活

ウガンダ・ブイクウェの生活を実況中継中

農家ホームステイ

前回の長文記事『「生きづらさ」との格闘と、読書』を書いたあと、思いの外いろいろな方からコメントやリアクションをいただきました。書いているときは「こんなくっそ長い記事読む人いるのか・・・?」と自分でも半信半疑だっただけに、とても嬉しかったです。ありがとうございます。また、似たようなことを考えたことがある、感じたことがあるという人にも何人か出会えて、本当に書いたかいがあったと思いました。

今後もまた、何か自分の特に関心のある分野に関してアイディアがまとまったら記事にしていこうと思います。

 

さて、活動の話に戻りまして。

北部での研修で専門家の方から「推測ではなく、実際の調査に基づいて現地の生活を知ること」の重要性を教えてもらい、自分なりに何かできないかと考えた結果、農家さんにホームステイをしてみました。

理想を言えばわたしの支援対象となる小規模農家さんの生活を観察したかったのですが、セキュリティーの関係もあって現地スタッフが紹介してくれたのはLC3と呼ばれる、地元のリーダーをかつてやっていたチャールズさんのお家でした。生活水準としてはウガンダの小規模農家の平均よりもはるかに上。それでも外から眺めるだけでは気づけなかった文化的な違いが山ほどあって、とても勉強になりました。

 

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泊まったお家の外観。敷地の中には三つ建物があって、一つは賃貸で現金収入の糧にしているそう。写真は左からチャールズの娘さんマストゥーラの寝室、キッチン、そしてマストゥーラの子供達の寝室。


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ナッジャ、ニェンガ周辺では家畜として牛、ヤギ、ニワトリ、豚を飼うのが一般的。

わんちゃんは夜に番犬をして不審者を追い払ってくれます。日本のようにドックフードではなく、家族のご飯の残り物を夜にあげていました。


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今回初体験だった外での水浴び。敷地の裏手にあるので他の人からは見えないものの、完全な吹きっさらし笑 ここで日差しの強い夕方にぬるい水で体を洗うの、結構気持ちよかったです。

 

ご飯シリーズ

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ホームステイ期間中のご飯をひたすら写真に撮りました。こうして並べてみるとよくわかるのですが、マトケ、ドーナッツ、ごはん、サツマイモ、キャッサバ・・・などなどとにかく炭水化物が多く、ビタミン源が少ない!調理過程を観察すると、油をかなり多めに使うので、カロリーも高め。舌が慣れてきて味は結構美味しく感じるのですが、栄養バランス的には色々と改善の余地がありそう。

ウガンダの食事で特徴的なのは、時間の違い。朝ごはんの時間は日本とさほど違わないのですが、お昼は14〜15時、夕飯は22時以降と、全体的に後半が遅い。チャールズさん宅では19時頃に一度軽食の時間がありましたが、これは他の現金収入の少ない家庭でも同じかどうかは不明。

 

ウガンダは性別における役割分担のはっきりした国で、リーダーの役職にもちらほらと女性は見られるものの、一般的な農家さんの家では男女の労働区分が明確になされています。ホームステイ最初の二日間、子供達と女性と集中的に時間を過ごしたのでこの辺りはかなり分かり易かったです。

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食材のほとんどは自宅の庭にあるマトケ、さつまいも、キャッサバなどを収穫したもの。数字で見ると平均の現金収入が低くても、この辺りでは食べ物に困っていない人がとても多いのは、庭でこれらの主食野菜をみんな育てているからなんですね。


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かなり大きなお家でも、いわゆる「キッチン」があるところはウガンダではほとんど見ません。洗濯、皿洗いなどの水仕事はプラスチックのタライを使ってその都度外でしています。洗濯物を干すのも、お皿を乾かすのも外。これらは女性と子供の仕事で、特に子供達は小学生くらいの子まで家事手伝いに参加していました。

ウガンダには年配の方を敬う文化が深く根付いていて、日本のようにおじいちゃんおばあちゃんが孫を猫可愛がりするというよりも、子供たちは家族の年配のメンバーのために色々な家事をする役割を負っているという印象。お客さんが来た時にお茶や椅子を出すのも小さな子供達。しつけも結構厳しくて、いうことを聞かない子供がお尻を叩かれて泣きじゃくっている場面に遭遇しました。

家の外には写真のようなテラス?が必ずあって、調理、洗濯、団欒の場など、屋外での活動の主な場になっています。お客さんが来た時はここにゴザを引いて、おもてなしをしていました。


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キッチンの中にはかまどが二つと乾燥な棚があるのみ。下は料理をしているマストゥーラの長女。カメラを向けられてはにかむ表情が愛らしい。

 

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地元のカトリック系の教会。平日の昼は私立のプライマリースクールになります。見学がてら現地語で挨拶をしました。

 

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ホームステイ中、地元の貯蓄グループがチャールズ宅で集会を開いていました。メンバーで定期的にお金を出し合って、必要なときに貸し出しを行なったりするそう。お金は銀行に預けるのではなく鉄の箱に入れて南京錠をかけ、箱と鍵を違うメンバーが管理することで勝手な持ち出しが出来ないようにしているのだとか。

 

畑 

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後半二日はチャールズの畑へ。両親から受け継いだかなり大きな土地を持っていて、サトウキビやピーナッツ、トマトなどを育てていました。土地の一部は他の農家さんに貸し出して、そこでは水稲の稲作もやっています。今はちょうど鳥追いの時期で、2枚目は鳥追いの人が使う簡易の日陰スペース。ウガンダでは稲作の鳥害が深刻で、種まき直後と収穫前の時期は畑に農家さんが一日中張って鳥から稲を守ります。「稲作の課題は何かありますか?」ときくと、多くの農家さんが鳥追いの大変さを挙げるほど。

ナッジャは水の豊富な地域で、写真のように小川や沼地の水を灌漑で引いて使用している農家さんがたくさん見られます。写真の灌漑は木材と砂を詰めたサックで手作りしたもので、水をせき止めたり放流したりするたびに手間がかかるのでなんとかできないかという相談がありました。灌漑の専門家さんとお話しする機会があったので、今度改善の余地がないか聞いてみる予定です。

 

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過去のボランティアが発明した、米の正条植えのためのマシン。国内各地の溶接工でも作れるよう、地方でも手に入る資源だけを使って作られているそう。現在ボランティア全体でこれを広めていこうという動きがあって、私も自分のコミュニティになんらかの形でこれを紹介できたらなと思っています。

 

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畑で作業中、ウガンダで初めて電車をみた!びっくり!(めっちゃ見にくいけど真ん中


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チャールズの畑をぐるりと取り囲む大型のサトウキビプランテーション。インドの会社が所有している土地だそう。サトウキビは米と同じ換金作物で、手はかからないけれど栽培まで一年半かかる分、儲けは少ないのだとか。

 

今回数日だったけれど色々な気づきがあり、また任地訪問のホームステイ以降初めて現地の人と濃密な関係を結べたのも嬉しかったので、可能であれば、もっと規模の小さな農家でもまたできないかなと思っています。より小規模農家の生活の実情を知るために。