「生きづらさ」との格闘と、読書2
原因論の罠
最初に壁にぶち当たったのは大学に入った頃でした。それは「生きづらさの原因がわかったからといって、生きづらさそのものが取り除かれるわけではない」という、今にして思えば当たり前の気づきがきっかけでした。 要するに、「私が生きづらいのは、母親が/父親が◯◯だったからだ」・・・で?って話で笑
子供時代を分析してみたはいいけれど、全てを親のせいにしたって今日の自分の性質が変わるわけではない。多少マシになったとはいえ、依然私は自信がないままだったし、孤独感に苛まれていたし、相変わらず劣等感まみれでした。
さらに悪いことには、「子供時代の親との関係性がその後その人の人生全体に及ぶ人格を形作る」という精神分析の考えに囚われて、どうやっても取り戻せない子供時代という問題にもぶちあたりました。
子供の精神の健やかな発育や、自己肯定感の育成のためには、幼い時に親と適切な関係を築く必要があるのは分かった。けれど、現実問題私は今から5歳児に戻ることはできない、さあどうする?という問題です。
この頃、書店でたまたま加藤諦三さんの新書を手に取ったことから、いくつか彼の著書を読み始めます。タイトルは忘れてしまったのですが、ある一冊にこんなふうなことが書いてありました。
親との関係において望むものを得られなかったという人は、代わりにそれでも今日まで生きてきた自分を自分で褒めてあげてください
一見優しい言葉だけれど、読んだ瞬間にどこか突き放されたように感じたのを覚えています。
子供時代が取り戻せないものであることを認めるということは、理想通りの子供時代を諦めるということでした。一方私は過去に対して「こうであるべきだった」という思いを手放す準備がまだできていなかった。自分だけが割を食ったような、みんなに与えられたお菓子が自分にだけ与えられていないような、そんな感覚でしょうか。すごく子供じみた感情ですが・・・。
加藤諦三さんに関しては、類似のテーマでかなり多くの本を出版してらっしゃいますが、初めて読む人にはこちらが私のお勧めです。
自分に気づく心理学―幸せになれる人・なれない人 (PHP文庫)
- 作者: 加藤諦三
- 出版社/メーカー: PHP研究所
- 発売日: 2000/05/01
- メディア: 文庫
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わけもなく不安になる、人づきあいが苦手……あなたを苦しめる「感情」の正体を解明し、自分自身を見つめ直すキッカケを与える人生論。
他人の眼が気になってしかたがない。つい心にもないお世辞を言って後悔する。弱音を吐くことに罪悪感を感じる……あなたを苦しめる感情の「正体」は、心の奥底に抑圧された“依存症”だった。
本書は、現代人の心の深部のゆがみを、幼少期の親子関係までさかのぼって解明し、自然な感情のままに生きることの大切さを説き明かす心の手引書。
幼い頃に家庭内の温かな心のふれあいがなかった人は、自分を抑えて周囲の期待に沿わなければ愛情を得られないと思い込んでいると著者は言う。そこで「尽くすことでしか相手と関係を維持できないのは、人から尽くされたいという激しい欲求」「外面のいい人は些細なことで不機嫌になるのは、甘えの欲求を素直に表現できない苛立ち」など、自分の中で満たされなかったものの本質に気づき、偽りの生き方をやめるヒントを具体例と共に紹介。